株式会社と合同会社ってどっちが良いの?

 

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目次
合同会社と株式会社との違い
■会社の種類は4つ
合同会社とは
■株式会社とは
合同会社の出資割合はどう影響する?
合同会社のメリットとは
■メリット①:設立費用にかかるコストが株式会社に比べてかなり安い
■メリット②:迅速な意思決定ができる。
■メリット③:決算公告義務がない。
■株式会社のメリットとは
 
合同会社と株式会社との違い
会社は、出資者と経営者の関係性によって、
大きく2つのタイプに区分されます。
 
ひとつは出資者と経営者が別人でもOKの株式会社、もう1つは出資しないと経営ができない持分会社(合名会社、合資会社合同会社)です。
 
会社を設立する際には株式会社にするか合同会社にするかで、迷う人が多いようです。
 
会社の種類は4つ
合同会社と株式会社の違いについてご紹介する前に、
まずは会社の種類について知っておきましょう。
会社法における分類は、全部で4種類あります。
 
 
合同会社とは
合同会社は、株式会社をさらに小さくしたイメージで、
小規模の事業をするのに向いています。
 
合同会社の出資者の責任は緩和され、
社員全員が「有限責任社員」となります。
 
つまり、万が一事業に失敗した場合でも、
社員は自分が出資した金額の範囲内で責任をとればよいことになります。
合同会社も、出資者全員が会社を代表して業務を行うのが原則ですが、社員が複数いる場合には株式会社のように定款で代表者を決めることもできます。ただし、代表者となっても有限責任社員であることに変わりはありません。
株式会社と比較すると設立費用が安く定款の認証などが不要なので、合同会社を設立した後、株式会社に変更するケースもあります。
 
株式会社とは
株式会社は出資者と経営者が別人でもOKですが、経営者が自ら出資することも可能です。
一方、合資会社合同会社合同会社は出資者が「社員」となります。
株式会社は利益をあげることを目的に、株主から資本を集める仕組みとなっていて、株主から経営を委託された人のことを「取締役」といい、取締役は集めた資本を増やして会社の価値を上げる責任を負います。
株式会社は資本と経営が分離しているので、株主は「有限責任」のみを負うことになります。
以上から考えると、会社を設立する場合の選択肢は、株式会社か合同会社のいずれかということになります。株式会社と合同会社はどちらも有限責任社員で構成されるからです。
そこで、ここからは合同会社の意味や株式会社との違いについてみていきましょう。
 
合同会社の出資割合はどう影響する?
株式会社の場合、出資割合に応じて株主総会の議決権の割合が決まります。
 
たとえば、資本金1,000万円のうち700万円をAさん、残りの300万円をBさんが出資したとします。
この場合議決権も同じ割合となり、会社の意思決定権はほぼAさんにあることになります。
 
また、株式会社が配当する場合も、出資割合に連動して配当金を支払います。たとえば「1株あたり1,000円配当する」と決めれば、100株持ち人は10万円の配当、20株持つ人は20万円の配当金を受け取ることができます。
 
一方、合同会社の場合には出資した割合は関係ありません。
合同会社の場合には「出資者=社員」となるので、事業がうまくいっている時はよいのですが、社員同士でもめたりすると、収拾がつかなくなるというリスクもあります。
また、合同会社が配当を行う場合には出資割合と関係なく、利益配分を設定することができます。
 
合同会社のメリットとは
メリット①:設立費用にかかるコストが株式会社に比べてかなり安い
会社を設立するときには、法務局にて登記手続きをします。この時「登録免許税」がかかりますが、
合同会社は6万円、株式会社は15万円ほどかかります。
設立にかかる最低費用としては、
 
合同会社・・・ 80651円 に対し、
株式会社・・・223351円 とされています。
 
結果として、合同会社のほうが株式会社より、
14万円ほど安くなります。
 
メリット②:迅速な意思決定ができる。
合同会社の場合、社員は「出資者(株主)」と「取締役(役員)」の両方が一致しています。そのため、出資者自らが業務執行を行うので、早い意思決定が可能となります。つまり、外部の株主から資金調達もしていないので(出資されていないので)、外部からの指示を聞く必要もないのです。
 
メリット③:決算公告義務がない。
合同会社の場合、社員自身が出資者(株主)です。
そのため、外部に会社の経営状況を公表する必要はなく、社員自身が会社の経営状況を把握していればよい、という事になります。
一方で、株式会社では外部に株主がいるので、会社の経営状況を示す決算書などを公表する義務があります。
 
ただし、合同会社も納税義務があるので、
決算書は作る必要があります。
株式会社のメリットとは
メリット①:社会的な信用度が高い
合同会社が近年制定されたものであるのに比べて、株式会社という会社形態は昔から使われており、
一般的です。現に、多くの企業がこの形態を採用しており、知名度も信用度も株式会社の方がかなりあります。
そのため、中小企業が新たな顧客を開拓する際にも、また取引先に対してのみならず、金融機関から融資を受ける際にも、株式会社の方が信頼があり、取引がしやすい事が1番のメリットといえます。
 
メリット②:上場できる
上場が出来るのは株式会社だけです。
いずれは上場をして、将来的に会社の規模を大きくしていきたい、株主からの増資を検討したいと考えている方は株式会社のほうがよいでしょう。
 
メリット③:代表取締役と名乗れる
合同会社の代表者は、出資社員全員なので、「代表社員」になります。名刺の表記には規定はありませんので「社長」や「CEO」で表記することも可能です。
一方で、合同会社の代表者の名刺には「代表取締役」とは入れられませんのでご注意ください。
 
株式会社の代表者は「代表取締役」になります。
合同会社のデメリットとは
デメリット①:株式会社に比べて、知名度・信用度が低い
合同会社という会社形態は近年制定されたものであるため、株式会社と比べると、認知度や信頼度が劣ります。
取引先や金融機関からの信用力は株式会社と比べると劣るため、取引や融資においては、合同会社である方が取引や融資を受けにくくなるといえます。
 
デメリット②:上場できない
合同会社は、上場できないため、株を発行して外部から資金を調達することは出来ません。また、上場しない=規模を拡大していかないというイメージがあるため、新しいいい人材を確保しにくいという面もあります。
 
デメリット③:・代表取締役と名乗れない
合同会社の代表者は、出資社員全員なので
代表社員」となります。名刺の表記には規定はない為、「社長」や「CEO」で表記することも可能です。
しかし、株式会社のように「代表取締役」とは入れることはできません。
 
株式会社のデメリットとは
デメリット①:費用が高い
上記にも記しましたが、株式会社では、登録免許税が合同会社に比べて7万円高くかかります。それに加えて、公証役場の定款認証手数料5万円の費用が必要なため、結果として、合同会社を設立するよりも14万円ほど高くなります
〜豆知識〜
登録費用は「登録免許税」という税金のため、安くなりませんが、「特定創業支援事業」という制度を用いることで、半額になります。大体の市町では導入されており、市町と連携している金融機関のセミナーを何回か受け、その証明書をもらうことで、登録免許税が半額になります。
デメリット②:決算公告義務がある
株式会社は、外部から出資してもらっているので、決算書を毎年公開する必要があります。
官報への掲載は約6万円かかるので、その際の情報公開の義務と運営コストは負担しなければなりません。
 
デメリット③:役員任期がある
役員改選は10年まで延長可能ですが、その10年後には必ず改選しなくてはなりません。その際、役員変更の登記が必要で、登記費用は 1万円かかります。また、改選(重任)の手続きをしない場合には、過料の制裁あり、直近の改選から12年後にはみなし解散となります。
 
まとめ
基本的には、合同会社と株式会社ともに法人格があるので、
契約や税制面などでは特に違いはありません。
 
しかし、上記のような点をふまえるとコストを抑え、
小規模で経営を続けていきたい人には合同会社。取引を活発にし、上場を目指して規模を拡大していきたい人には株式会社にするのがおすすめです。