役員報酬はルールを守らなければ必ず損をする
役員報酬を支払うためには、様々なルールがあります。
そのルールを守らなければ、思わぬ損をすることもあります。
損をしないためにも、
役員報酬の基本的なルールについてお話していきます。
目次
役員報酬とは?そもそも役員とは?
どんなルールがあるの?
ルールを破ると、どうなるか。
役員報酬の3つの種類
①定期同額給与
変えられるケース
②事前確定届出給与
利益連動給与(業績連動給与)
まとめ
役員報酬とは?そもそも役員とは?
社長を含めた役員に支給する給与は「役員報酬」と呼ばれます。
「役員報酬」と「従業員への給与」の大きな違いは、
・金額
・支払時期
・書類の作成
について様々なルール(縛り)があることです。
そのルールを守らないと、
損金(経費)として認められないなどのデメリットがあります。
損をしないために、
必ずルールを守らなければなりません。
「みなし役員」に対する給料も、役員報酬としての縛りを受けます。
どんなルールがある?
役員報酬の代表的なルールは、次の2つです。
・毎月払う給料は、一定額でなければならない
・賞与を払う場合には、事前に届出なければならない
なぜこのようなルールがあるのか
簡単に言うと「利益調整を防ぐため」です。
分かりやすく毎月払う給料で、具体例を出してみましょう。
12月決算の会社で、11月末時点で450万円の利益が出ている会社があり、
毎月の役員報酬を50万円と控えめにしていました。
確かにこれが認められば利益は0になるので、税金はかかりません。
しかし、この12月の増額は認められません。
原則として、12月も1~11月同様50万円を支払うことになります。
今回は「金額を増やす」ケースで解説しましたが、同様に「金額を減らす」ことも認められていません。ただ金額の変更が認められるケースもあります。
※「株主総会で決定→決算日から3ヵ月以内に変更」などのルールがあり、変更できるタイミングは限られています。
ルールを破るとどうなるか
実際に12月に450万払った場合は、
増額分の400万円(450-50=400)が、
法人税の計算上、経費として認められないことになります。
増額した400万円部分は、
会計(損益計算書=P/L)上では経費になります。
しかし税金計算上では経費にならないので、利益は400万円のままです。
法人税も400万円の利益に対してかかってくるので、税金に影響が出るのは会社側だけではなく、個人もかかります。
社長が給与として受け取っているので、
増額した400万円は所得税・住民税・社会保険料の対象になります。
つまり、ルールを守らないと、会社側で経費にならないのに、個人側で税金が課されてしまうということになります。このように、2重に損することになりますので、絶対に気をつけましょう。
役員報酬の3つの種類
役員報酬の払い方は、3つの種類があります。
①定期同額給与
②事前確定届出給与
③利益連動給与
役員に払う給料は、
毎月一定額でなければならないことは先述しました。
これを、「定期同額給与」といいます。
原則として、一度「50万円」と決めたのであれば、
1年間は50万円支払う必要があります。
※オレンジ色の部分は変えられません
変えられるケース
例外に、金額を変更できるケースもあります。
金額の変更が認められるのは、
以下の3つのケースです。
①期首から3ヵ月以内に変更する
②役員としての地位が変わったときに変更する
③経営状況が著しく悪化した時に変更する
新事業年度がスタートしてから、
3ヵ月以内の変更は「通常改定」といいます。
基本的にはこのタイミングで毎年、役員報酬を見直すことになります。
12月決算であれば、3月末までに変更することになりますが、ここで決めた金額は原則として、翌年の3月まで変えられないので慎重に決めます。
これ以外には、新しく役員になったや役員としての肩書きが変わった、業績が悪化してしまったなど、特殊な事情がなければ変えることができません。
金額を変更するチャンスは基本的には毎年1回で、
期首から3ヵ月以内の通常改定です。
②事前確定届出給与
これはいわゆる「役員賞与」です。
毎月の役員報酬とは別で支払いたい場合には、
事前確定届出給与を利用します。
具体的には、以下の流れです。
株主総会を開き、いつ・誰に・いくら払うかを確定させる→株主総会から、1ヵ月以内に税務署に届出書を提出する
※金額が1円でも・1日でもズレると、
その支払った全額が、税金計算上は経費として認められません。
まとめ
役員報酬について、しっかり理解することは節税の最も有効的な手段と言えます。しかし、理解していないと損金に参入できない。または、脱税になる可能性もあるので注意が必要です。不安であれば、積極的に税理士などに依頼しましょう。